記事紹介:年金関連~「75歳へ引き上げの公算」「保険料率の最後の引上げ」「残高47.6兆億円で過去最高」

先日、「森永卓郎氏が解説 今の40代世代を襲う「年金4割カット」の現実味」の記事を紹介しました。その際に、森永氏が根拠とされている厚労省の試算結果を「いっしょに検証!公的年金~財政検証結果から読み解く年金の将来~」で確認しました。

その2つからは、4割カット or 70歳支給かが有りうるのだと感触がありました。

折り返し人生のライフプラン試算をしている身からすると、ちょっとショックなこの記事と結果、自然と年金関連情報への関心が高まりました。ウオッチしていると続々と発信されていますので、共有します。

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記事1:「75歳現役社会」は100歳人生の時代に当然

一つ目の記事は「年金支給開始と定年、75歳へ引き上げの公算…あなたは今の仕事のままでよいですか?」です。

「68~70歳受給開始年齢」はすでに前提であり、ようやくアメリカやヨーロッパ諸国と同じレベルになるだけです。よって、「70歳より高い年齢の設定」が議論の対象となるのは避けようがありません。むしろ人生が100年に達する時代に、当然の発想なのです。

こちらの記事では、65歳受給開始では年金が破綻するのは当然のことで受給開始年齢の引き下げはすでに前提、人生が100年に達する時代に当然だとのこと。

記事中では「もちろん空白の10年のようなことはなく、企業側にも年金受給年齢までの雇用が義務づけられるだろうと。だから働けるか働けないかではなく、70歳過ぎまで働き甲斐があるような仕事の仕方や生き方を考えるべき」との主張です。

どちらかというと、はるきちのような人生の折り返し直前の世代ではなく、もう少し若い世代に向けたメッセージです。

記事2:厚生年金保険料率の「最後の引上げ」が行われる

二つ目は、「2017年10月、厚生年金保険料率の「最後の引上げ」が行われる」です。

きちんと関心を持っていなかったこともあり、年金保険料の引き上げが継続的に行われていたことを知りませんでした。

厚生年金の保険料率の引上げは2004年に行われた年金制度改革によって予めスケジュールされていたもので、2004年4月時点で、13.58%(労使合計。従業員負担分はこの半分)だった保険料率は、毎年10月(※2)に原則0.354%ずつ(※3)引上げられてきた。2017年10月に最後の引上げによって、保険料率は18.3%となり、この14年間の累計で4.72%ポイントにも及ぶ保険料率の引上げが完了する。

2004年の年金制度改革の時点では、保険料率の引上げは今回で完了し、「100年安心」の年金制度ができあがるはずだった。しかし、予定通り保険料率が引上げられてきたにもかかわらず、現実には年金の将来の持続可能性は当時の想定より揺らいできている。

ただ、この記事を読んでみると「100年安心の年金制度」という言葉に覚えがあります。当時、出生率の前提とかを聞いて、都合の良いデータを繋いでいて絶対安心ではないと思ったのを思い出しました。

健康保険料、介護保険料、年金保険料と現役世代の負担は増えました。前回の森永氏記事や今回の記事1のように、受給開始年齢の引き上げを折り返し人生探検隊としては意識しておくべきなのだと思います。

記事3:年金運用、残高47.6兆億円で過去最高

最後は、年金運用、残高47.6兆億円で過去最高  年金は破綻するか?ではなく、絶対「破綻させない」です。

「絶対破綻させない」には期待したいですね。ただ、厚労省がこのメッセージを使う場合には、受給開始年齢を引き上げたり支給額を減らしたりするので「年金は破綻しない・・・・・だから年金保険料払おうね」の文脈が多いように思います。

森永氏の記事でも、3つしか選択肢はないと書いていました。

日本の年金制度は年金支給のために必要な財源を、その時々の保険料収入から用意する「賦課方式」であるため、少子高齢化で支える側が減って、もらう側が増えていくわけだから、年金の給付水準が下がるのは避けようがないことも現実だ。制度を維持しようとすれば、「保険料の引き上げ」か「給付水準の引き下げ」か「支給開始年齢の繰り延べ」かの3つしか選択肢はないのである。

この記事では第4の道があることがわかりました、「運用して増やす」です。

日本銀行は9月20日、資金循環表を公表した。これによると我が国の年金積立金残高は47兆6179億円となり、3四半期続けての過去最高額を記録し続けることになる。

・・・・・

GPIFの運用の基準は「名目賃金上昇率+1.7%」を目標利回りとして設定しており、GPIFによればこの基準をクリアすれば向こう100年にわたって賦課方式のまま年金制度を維持できるということである。厚生労働省の毎月勤労統計調査によれば、一般労働者の名目賃金の上昇率は2016年の確報値で0.9%である。GPIFの報告書では過去16年での運用実績は2.89%なので、十分目標利回りをクリアしていると言えよう。

年金の運用が積極運用に変わったという記事を読んだことがありますが、47兆円もの巨額の資金ですから、是非運用のプロフェッショナルを集めて運用を成功させてほしいですね。

個人の確定拠出年金の目標利回りとして2%と設定されていたくらいなので、2.6%くらいなら達成できるのではないでしょうか。「気が付いたら年金財政は余裕になっていました」くらいの発表を厚労省がしてくれることを期待します。

最後に

とにかく、安易に65歳から年金をもらえる前提のライフプランを描いてはNGのようです。また、同じ働くならやりがいがある働き方にしたいし、ワクワク感のある折り返し人生にしたいですね。

これからも年金関連の記事はウオッチしていきます。

はるきち


記事4:2019年の年金大改悪 給料の60%超が天引きされる異常事態も

追記:2017年10月14日

マネーポストWebさんで関連記事を見つけましたので追記します。
ちょっと過激な感じのタイトルの記事です。「2019年の年金大改悪 給料の60%超が天引きされる異常事態も」

内容としては、記事2が「2017年10月、厚生年金保険料率の「最後の引上げ」が行われる」(DIRより)では、最後の引き上げ完了で18.3%になったとのことでしたが、

2017年10月に最後の引上げによって、保険料率は18.3%となり、この14年間の累計で4.72%ポイントにも及ぶ保険料率の引上げが完了する。(DIRより)

マネーポストWebの記事では、

10月から、厚生年金保険料が18.3%まで引き上げられるが、厚労省は、人口や経済の動向などから年金制度が持続可能かどうかを検証する2014年の「財政検証」で、「所得代替率50%を維持するには25.9%の保険料率が必要である」と密かに“軌道修正”している。(マネーポストWebより)

既に、厚労省からは次の保険料率引き上げが必要との試算が出ている。試算を公表しているということは実施するという記事です。さらに、厚生年金保険料はサラリーマンと雇用主の企業が折半していますから、その分も所得に含めると現在でも約45%が、仮に25.9%の保険料率になれば約65%が天引き(厚生年金、健康保険、雇用保険、税金、介護保険など)される状況になるとのことです。

将来、本当に約65%が天引きとなるとサラリーマンは何のために働いているのかわからなくなりますね。恐らく、そうならないためには年金受給開始年齢の引き上げとか年金支給額の引き下げとかの議論が出てくるのでしょう。

今度の選挙結果次第で、消費税の使途変更がなされると国の財政赤字対策もどんどん先延ばしになってしまいそうです。自分のライフプラン設計だけでなく、子供たちの世代のことも不安になります。

はるきち