記事紹介:今の40代世代を襲う「年金4割カット」の現実味(森永卓郎氏)

年金4割カットというショッキングな記事を森永卓郎氏が書いてます。折り返し人生を考える方への参考として共有します。「森永卓郎氏が解説 今の40代世代を襲う「年金4割カット」の現実味」記事はこちら

森永氏の記事でも触れられていますが、厚労省の将来の年金給付水準やその維持について前提となっている内容は自分で確認した方が良いと思いました。そちらについても共有します。

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2017年10月15日追記
年金関連ウオッチでの関連記事4件をこちらで「記事紹介:年金関連~「75歳へ引き上げの公算」「保険料率の最後の引上げ」「残高47.6兆億円で過去最高」」追加しました。
いいニュースも厳しいニュースもあります。

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40代の方は年金支給額が4割カットで生活設計すべきという話

今後の生活防衛術として、少なくとも現在40代より下の世代は、年金が現行支給額の4割カットになると思って生活設計をしておくべきだろう。現行支給額は、平均的給与で40年勤務したサラリーマンの夫と専業主婦の夫婦の場合、2人で月額約22万円。それが4割カットとなると、夫婦で月額約13万円しかもらえなくなる。つまり、現役時代から、将来は夫婦で月13万円で暮らせる生活を考えておく必要があるということだ。
(森永卓郎氏記事より)

折り返し人生について考える際にライフプランが重要です。もちろん、はるきちもリタイアできるタイミングを知るための計算もしてみていますし、その場合の65歳以降の収入は年金定期便の金額をそのまま使っています。皆さんもそうしてますよね。

そのライフプランの前提となる年金額が当てにならないのだと本当に困ります。特に4割カットとなると、見える世界がまったく変わります。

要するに4割カット or 70歳支給かが有りうる

森永氏の記事から主張の前提となる厚労省試算について言及されている部分を引用します。

厚労省は2014年6月に、年金制度の「財政検証」の結果を発表した。そこでは経済成長率の前提が異なる8パターンの将来推計が示されており、ケースAからケースEの5つのケースは将来的にも厚生年金の所得代替率50%が維持できる、つまりは現役世代の手取り収入の50%以上の年金を保障できるとしている。ただし、この5つのケースはすべて、65~69歳男性の労働力率は67%と3分の2の高齢者が働く前提となっているのだ。

一方、高齢者の労働力率が現状と変わらないとしたケースFからケースHの場合では、所得代替率は最悪35~37%まで低下する。これは、年金が実質的に4割もカットされていくことを意味する。
(森永卓郎氏記事より)

この厚労省の試算結果はこちら「いっしょに検証!公的年金~財政検証結果から読み解く年金の将来~」というサイトがありました。財政検証結果レポートはPDFで公開されています。

森永氏の記事中にある厚労省の8パターンの将来推計について分かりやすいのはこのレポート「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し(平成26年財政検証結果)」のP11です。ケースA~Hが提示されており、A~Eは高成長ケースとして、所得代替率が50%を超えています。F~Hは、機械的給付水準調整により50%を当面維持するようなことが記載されていますが、ケースHには以下の注が記載されています。

機械的に給付水準調整を続けると、国民年金は2055年度に積立金がなくなり完全な賦課方式に移行。その後、保険料と国庫負担で賄うことのできる給付水準は、所得代替率35%~37%程度。
(厚労省レポートP11より)

低成長ケースでは50%を維持できる期間には限度があるということですね。

では高成長ケースとは?
「労働市場への参加が進むケース(内閣府資産の経済再生ケースに相当)」という良く分からない書き方をされています。レポートのP6に「(参考)労働力率等の前提」があります。男性については、主に60歳~69歳の就業率が20%弱高い水準が想定です。女性は、全般的に就業率が向上する水準が前提になっています。

男性は65歳超でも約65%が働き続けることが、高成長ケースの前提に含まれています。

要するに「年金4割カット or 70歳支給ということが有りうる」し、そういう議論が出てくるのでしょうね。

厚労省からの各世代へのメッセージ

ページの右側には各世代別に年金について説明するコンテンツが用意されていました。画像は50~60代の皆さんへのページです。

ここでは「支給は65歳」となっているので、はるきち世代は65歳ということなのでしょうか。

30~40代の皆さんへだと以下のメッセージです。「公的年金はなくならない」だそうです。

このサイトは、「いっしょに検証!公的年金~財政検証結果から読み解く年金の将来~」となっていますが、同じ検証結果をベースに読み解いても厚労省のメッセージと森永氏のメッセージは随分とトーンが違います。

財政検証結果はきちんと読んでおくべき

ちょっと面倒ですが財政検証結果は、自分でも読み解いておくべきだと思いました。

はるきちも今回はさらっと目を通しただけですが、特にリタイア時期の早期化を検討するためのライフプラン試算をするのであれば、その前提として年金のダウンサイドリスクは自分で確認しておいた方が良いです。

もしくは、リタイアをしないという生涯現役という選択でしょうか。安倍政権の「一億総活躍社会」は、その布石に見えてきました。

はるきち