徹底バックテストでトラリピ系の最適設定を探る ~豪ドル米ドル編(AUDUSD)

トラリピ系での収益安定&向上を目指して、バックテストで効率的な設定を検証していきます。

今回は、ドルストレート通貨である豪ドル米ドル(AUDUSD)編です。
ドルストレート通貨としてはポピュラーで検証の意味がある通貨ペアではないかと思います。また、オセアニア通貨のクロス円であるAUDJPYとNZDJPYでは利確幅などの傾向は似ていたので、AUDUSDの結果はNZDUSDでも参考になると思っています。

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今回の検証項目

今回は資金効率の良いトラリピ設定を探る目的で、以下の項目を検証していきます。この記事では、赤文字部分を対象に検証し効率の良い設定を探ります。

  • 資金効率の良い設定を探る
    • 効率の良い利益設定値幅は?
    • どの価格レンジにトラップを仕掛けるのが効率が良い?
  • 売トラリピ(スワップ支払い側)は儲かるの?
    • どの程度の利益が期待できるのか?
    • どの利益確定値幅価格レンジが良いのか?

バックテストの設定&お約束

バックテストの設定は以下の通りです。今回は、期間が10年間&かなり幅広なトラップ設定レンジで実施しました。

  • 通貨ペア:AUDUSD
  • 検証期間、データ:10年間(2008/11/1~2018/10/31)の1分足データ
  • トラリピ設定
    • トラップ設定
      • 価格レンジ: 0.6425~1.0775
      • トラップ:  0.5間隔で88本を設定
      • 取引量 :  0.1万単位
    • 利益確定値幅:  0.01~0.14
    • 決済トレール:  使用しない
    • スプレッド:   0.0004
    • スワップ:    買:-0.11USD/1万単位、 売:-0.19USD/1万単位
  • 投入資金(証拠金)
    • 過去20年の高値、安値でロスカットされない証拠金で投資効率を検証(0.60~1.11)
  • 今回の結果として表などで提示している、損益、証拠金の通貨は米ドルベースになっています。

トラリピ系の取引はいろいろ試してきましたが、今は、元祖トラリピのマネースクエアのトラリピとマネーパートナーズの連続予約注文の2つを使っています。
スプレッドやスワップは、マネースクエアの2018/12/19での値を参考にテストの設定値としています。

また、お約束的ですが、バックテストのためのデータ加工やプログラムは注意を払って作成しておりますが、紹介する結果に間違いがないことを保証するものではありません。取引等はご自身の判断で実施してください。

検証結果~豪ドル米ドル編(AUDUSD)

効率の良い利益設定値幅は?

まずは、トラリピ設定の基本となる効率の良い利益設定値幅についてです。

表:AUDUSDでの10年間トラリピバックテスト結果

表:AUDUSDでの10年間トラリピバックテスト結果(単位:米ドル)

表の見方ですが、

  • 新規分:新規として約定した件数
  • 決済分:反対売買で決済された分(件数、損益、その期間のスワップ額)
  • 未決済分:バックテスト期間終了時(2018/11/01)に残った建玉分
  • 損益単位:米ドル

10年分のデータでのバックテスト結果の表を見ると、決済損益を(利益大:赤⇒緑:利益小)売買別に色分けしていますが、利確幅は、売買ともに040(0.004)以上では大きな差はありません。

もう一つ結果から注意すべきと考える点は評価損益です。0.64-1.08という幅広いレンジをこの10年間の中で変動しています。現在は、価格変動のレンジとして低い位置にあるため、買い側では評価損益が大きな未決済ポジションを保有することになっています。狙うトラリピ稼働レンジをしっかり設定していくべきだと思います。

年別の損益、約定数を確認

10年間を年別に見てみた結果です。

買では2008、2013-2015年に利確幅が小さい方が利益が大きい年があります。一方で、2013-2015の売側では利確幅が比較的大きい方が利益が大きいです。値動きの上下に非対称性があるようです。

10年間を年別に見て安定しているのは、売買ともに利確幅040-080でした。ここでの結論はAUDUSDは売買ともに060(0.006)としてみることにしました。

表:AUDUSD年別バックテスト結果:損益(2008年は2か月、2018年は10か月分、単位:米ドル)

表:AUDUSD年別バックテスト結果:決済数(2008年は2か月、2018年は10か月分)

また、利益の多い年は2,000ドル強、少ない年は300ドル程度(2018年は10か月分)という結果です。この2年(2017,2018)は特に損益低調な年のようです。

参考:検証期間の価格変動状況

今回の検証期間での価格変動は以下のようになっています。

効率の良いトラップ設定価格レンジは?

トラップ設定の効率が良い価格帯を検証します。まずは、買トラリピです。

表:AUDUSD年別バックテスト結果:買トラ、利確幅0.006(2008年は2か月、2018年は10か月分、単位:米ドル)

買トラリピの設定ですが、先ほど結論とした利益確定値幅060(0.006)を採用しています。
トラップの価格帯064-065には、0.6425、0.6475、0.6525、0.6575に0.1万単位が4本含まれています。また、損益には決済損益とスワップ損益が含まれます、単位は米ドルです。

結果ですが、当然、利益が出ている価格帯は参考として掲載したチャートをなぞるように変動しています。

価格レンジは0.06台から始まり1.0を超えた後に0.7付近に戻ってきています。この10年間という中で現在は比較的低い価格レンジにあり、買トラリピには安心感があります。

例えば、2011-2013年であれば0.9-1.0超のレンジで仕掛けることになりますが、そのころの設定を今現在までそのままにしていたとすると、表の未決済含むの損益では大きくマイナスになっています。トラリピ系の取引は、稼働レンジの設定が重要なのが分かります。

表:買トラリピ豪ドル米ドル(AUDUSD)の価格帯別投資効率表 単位:米ドル

この表が結論になります。要投資額は、新規時の必要証拠金と0.6でのロスカット時の評価損額の合計です。投資効率は、要投資額を投資した場合の実績年利(単利)です。2015年以降のレンジを狙った場合ということで、2015以降の3年10か月分の投資効率も計算しています。

要投資額に水色の網掛けをした価格レンジをターゲットとすると過去安値0.6台までの価格差は、それほど大きくありません。結果として必要投資額も少なくなります。過去10年の実績年利はレンジの6.7%ですが、2015年以降とみれば向上します。

ここでの結論は、この表をぐっと睨んで以下の通りとしておきます。

  • 価格帯  066-077(0.67~0.78まで)、実績からは効率良さそう
  • 投資額  3,571ドル(0.1万単位、トラップ幅0.5で24本設定)
  • 利益額  2,408ドル(10年分、決済損益、スワップ損益、未決済分含む)
  • 実績年利 6.7%(10年分の平均値)

ただ、もう少し幅広に取る or ピンポイントに絞るなどの好みも含めて、皆さんの判断材料としてください。

マネースクエアのトラリピ試算表に設定を打ち込んでみた結果です。このツールは必要資金額の検証ができて本当に便利なのでお薦めです。
一応、必要資金の計算は合っているみたいです。

売トラリピではどうなのか?

考え方は買トラリピの場合と同じなので、結論の表を並べます。

表:AUDUSD年別バックテスト結果:売トラ、利確幅0.006(2008年は2か月、2018年は10か月分、単位:米ドル)

表:売トラリピ豪ドル米ドル(AUDUSD)の価格帯別投資効率表 単位:米ドル

正直、現在の価格レンジで売トラリピを仕掛ける気になりません。やはり米ドル高な状況と思いますし、米ドルの動向次第で価格レンジが上昇し含み損を抱えるような展開も考えられるからです。

ということで、ここでは設定レンジ案は出しません。

まとめ

今回の検証目標に立ち返ってまとめると、以下の通りです。

  • 資金効率の良い設定を探る
    • 効率の良い利益設定値幅は?
      売買とも040(0.004)以上が良い、決済回数の観点から060(0.006)を目安とする。
  • どの価格レンジにトラップを仕掛けるのが効率が良い?
    • 買トラリピでは、066-077(0.67~0.78まで)
    • 売トラリピは、現在の価格レンジからは仕掛けにくい(はるきち判断)

1分足データが入手できたことで頑張ってバックテストをやってみた結論は上記の通りです。

バックテストでの検証は一旦ここまでにして、次回は総集編として整理してみようと思います。

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

はるきち

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