トラリピ系の取引自体はもう数年間は実施してきています。
ただこれまでの設定は、トラリピ系では定石といわれる「ロスカットされない設定」ということで「過去の最安値でもロスカットされない」ための試算をするレベルで効率面での追求はあまりしていませんでした。
副収入3本柱の一つとしてどの程度利益を出せるのか確認していくために、バックテストで検証することを始めました。
まずは、トラリピ系での人気通貨ペアである豪ドル円(AUDJPY)編です。
Contents
今回の検証項目
今回は資金効率の良いトラリピ設定を探る目的で、以下の項目を検証していきます。この記事では、赤文字部分を対象に検証し効率の良い設定を探ります。
- 資金効率の良い設定を探る
- 効率の良い利益設定値幅は?
- どの価格レンジにトラップを仕掛けるのが効率が良い?
- 売トラリピ(スワップ支払い側)は儲かるの?
- どの程度の利益が期待できるのか?
- どの利益確定値幅、価格レンジが良いのか?
バックテストの設定&お約束
バックテストの設定は以下の通りです。今回は、期間が10年間&かなり幅広なトラップ設定レンジで実施しました。
- 通貨ペア:AUDJPY
- 検証期間、データ:10年間(2008/11/1~2018/10/31)の1分足データ
- トラリピ設定
- トラップ設定
- 価格レンジ: 60.25~103.75
- トラップ: 0.5間隔で88本を設定
- 取引量 : 0.1万単位
- 利益確定値幅: 0.1~1.4
- 決済トレール: 使用しない
- スプレッド: 0.05
- スワップ: 買:10円/1万単位、 売:-50円/1万単位
- トラップ設定
- 投入資金(証拠金)
- 過去20年の高値、安値でロスカットされない証拠金で投資効率を検証(55円~108円)
トラリピ系の取引はいろいろ試してきましたが、今は、元祖トラリピのマネースクエアのトラリピとマネーパートナーズの連続予約注文の2つを使っています。
スプレッドやスワップは、マネースクエアの2018/11/16での値を参考にテストの設定値としています。
また、お約束的ですが、バックテストのためのデータ加工やプログラムは注意を払って作成しておりますが、紹介する結果に間違いがないことを保証するものではありません。取引等はご自身の判断で実施してください。
検証結果~豪ドル円編(AUDJPY)
効率の良い利益設定値幅は?
まずは、トラリピ設定の基本となる効率の良い利益設定値幅についてです。

表:AUDJPYでの10年間トラリピバックテスト結果
表の見方ですが、
- 新規分:新規として約定した件数
- 決済分:反対売買で決済された分(件数、損益、その期間のスワップ額)
- 未決済分:バックテスト期間終了時(2018/11/01)に残った建玉分
10年分のデータでのバックテスト結果の表を見ると、決済損益を(利益大:赤⇒緑:利益小)売買別に色分けしていますが、利益確定値幅は概ね広い方が利益が大きいとなりました。これまで多くの方が検証された内容と同じ結果です。ある意味、自作のバックテストプログラムですが、皆さんと同傾向の結果が出たということで安心したところはあります。
AUDJPYであれば、利益確定値幅は0.6以上を設定するのが良いようです。
一方で気になったのは、売トラリピでのスワップ支払いの影響です。S050-010(売、トラップ値幅0.5、利益確定値幅0.1の意味)では、未決済分の評価損益まで含めた合計ではマイナスになっています。評価損は、利益になるまで待つのがトラリピだとして除いた合計でも、決済益の大部分がスワップ支払いで相殺されてしまっています。売トラリピでは、より慎重な設定が必要とわかりました。
設定したスワップポイントの買10円、売-50円は、マネースクエアでの2018/11/16のAUDJPY1日分のスワップポイントです。バックテストでは当時の値を使うべきという考えもありますが、正直過去値がわからないのと、今後の参考にするなら現在値設定での試算も良いのはと考えてこの設定にしています。
年別の損益、約定数を確認
10年間を年別に見てみた結果です。買トラリピでは利益確定値幅0.6以上にその年の最大利益を上げた設定が分布してます。一方、売りでは0.8以上です。
実は予想以上に1.2や1.4の広い利益確定値幅の成績が良かったです。ですが、決済件数は当然少なくなっていきます。あまり決済されないのも精神衛生上良くないので、ここでの結論はAUDJPYは売買ともに0.8としてみることにしました。

表:AUDJPY年別バックテスト結果:損益(2008年は2か月、2018年は10か月分)

表:AUDJPY年別バックテスト結果:決済数(2008年は2か月、2018年は10か月分)
また、利益の多い年は20万円以上、少ない年は6万円弱という結果です。この2年(2017,2018)は損益低調な年ですね。参考に長期チャートを引用しましたが、通貨レートの変動が大きな年はきっとひやひやすると思いますが、利益は大きくなってますね。
参考:検証期間の価格変動状況
今回の検証期間での価格変動は以下のようになっています。
効率の良いトラップ設定価格レンジは?
今回のバックテストでわざわざプログラムを独自に組んでまで頑張ってみたのはここからです。トラップ設定の効率が良い価格帯を検証します。まずは、買トラリピです。

表:AUDJPY年別バックテスト結果:買トラ、値幅0.8(2008年は2か月、2018年は10か月分)
買トラリピの設定ですが、先ほど結論とした利益確定値幅0.8を採用しています。
トラップの価格帯060-061には、60.25、60.75、61.25、61.75に0.1万単位が4本含まれています。また、損益には決済損益とスワップ損益が含まれます。
結果ですが、当然、利益が出ている価格帯は参考として掲載したチャートをなぞるように変動しています。
その価格変動を捉えるようにトラップを自在に設定できれば良いのですが、残念ながらそんな器用な投資センスは持ち合わせておりません。目指すのは、ゆったりFXでのほったらかし運用で副収入を目指すという都合の良い方針ですので、お得な価格帯でのほったらかしを狙っていきます。10年間で最も利益を上げたのは080-081の価格帯で、未決済分も含めて179,679円でした。

表:買トラリピ豪ドル円の価格帯別投資効率表
この表が結論になります。要投資額は、新規時の必要証拠金と55円でのロスカット時の評価損額の合計です。投資効率は、要投資額を投資した場合の実績年利(単利)です。投資効率が良かったのは076~081の価格帯で15~16%の実績です。
ここでの結論は、この表をぐっと睨んで実績利益率の高そうな価格帯をまとめた以下の通りとしておきます。
- 価格帯 072-085(72円~86円まで)、実績からは効率良さそう
- 投資額 760,840円(0.1万単位、トラップ幅0.5で28本設定)
- 利益額 902,913円(10年分、決済損益、スワップ損益、未決済分含む)
- 実績年利 11.9%(10年分の平均値、年によって変動で直近は下がっているので注意)
ただ、もう少し幅広に取る or ピンポイントに絞るなどの好みも含めて、皆さんの判断材料としてください。
マネースクエアのトラリピ試算表に設定を打ち込んでみた結果です。このツールは必要資金額の検証ができて本当に便利なのでお薦めです。
一応、必要資金の計算は合っているみたいです。
売トラリピではどうなのか?
考え方は買トラリピの場合と同じなので、結論の表を並べます。

表:AUDJPY年別バックテスト結果:売トラ、値幅0.8(2008年は2か月、2018年は10か月分)

表:売トラリピ豪ドル円の価格帯別投資効率表
売トラリピですが、興味深い結果でした。年単位ではスワップ支払いの影響もありマイナスとなる年も出ています。
ここでの結論は、以下の通りとしておきます。ゆったりFXですんので、買トラリピを設定しない領域での変動を捉えるための保守的な設定だと思います。
資金的には、買トラリピの投資額(648,480円)の範囲内に収まっています。
- 価格帯 086-101(86円~102円まで)、買トラリピを補足するレンジ
- 投資額 568,320円(0.1万単位、トラップ幅0.5で32本設定)
- 利益額 339,805円(10年分、決済損益、スワップ損益、未決済分含む)
- 実績年利 6.0%(10年分の平均値、年によって変動で直近は下がっているので注意)
損益の実績は078-085部分の方が高く、攻める設定であればその価格帯に設定していくということはあると思います。ただ、マイナススワップが積みあがるのを見るの嫌というのが、買トラリピと被る価格帯を外した理由です。それぞれの皆さんの考えで攻める設定であったり、保守的な設定であったり好みの違いが出るところと思います。
まとめ
今回の検証目標に立ち返ってまとめると、以下の通りです。
- 資金効率の良い設定を探る
- 効率の良い利益設定値幅は?
⇒広めが良い。売買とも0.8を目安とする。 - どの価格レンジにトラップを仕掛けるのが効率が良い?
⇒買いトラリピは、72円~86円で実績年利は11.9%
- 効率の良い利益設定値幅は?
- 売トラリピ(スワップ支払い側)は儲かるの?
- どの程度の利益が期待できるのか?
⇒実績では利益出てるが、スワップ支払いの影響もある。 - どの利益確定値幅、価格レンジが良いのか?
⇒一応、値幅は0.8円、価格帯86円~102円とするが好み次第
- どの程度の利益が期待できるのか?
1分足データが入手できたことで頑張ってバックテストをやってみた結論は上記の通りです。一旦、結論ということで書きましたが、価格帯別に建玉量を変えて重点化してみるとか、売トラリピをもっと攻めるとか工夫のしどころはいろいろあるなと感じました。
この結果をベースに、また他の通貨ペアの検証も進めて、はるきち自身のトラリピ設定を見直して副収入3本柱計画をの実現に向けて実践していこうと思っています。
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
はるきち
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修正歴
- 2018/11/25
- ロスカットされないための価格レンジを57-107から55-108に変更
- 関連する図表や投資資金、投資効率などを修正