はるきちは、ゆったりFX投資ということで、ほったらかしにできるFX投資を目指しています。ですが、1月頭のフラッシュクラッシュでは結構ヒヤッとしました。
主にトラリピ系取引、スワップ鞘取り、長期ポジションを実施していますが、年末から年始にかけてスワップ鞘取りで普段よりポジションを増やしていました。
ご存知の方も多いと思いますが、くりっく365では年末にスワップポイントが増加することが多く(関心のある方はくりっく365のスワップポイントを確認してみてください)、それを狙ってのポジションを積んでいました。短期で切る前提で予備資金も含めて算段していたため、年末に評価損が積みあがって証拠金のやり繰りが必要でした。今回は、年明け1月2日にポジションを閉じたため難を逃れた感じです。
実際、ゆったりFX投資という気分でなく、1月はスワップ鞘取りのポジションを縮小してきました。2月からは安心できるポジション構成を目指すことにしています。
その参考データとして「為替レート変動の確認 その2」をしてみました。もちろん「その1」があり、その記事では「為替レートの長期変動の確認」をしました(この記事)。今回は、「短期(1~3日)での変動の確認」です。
※2019/02/02 利用レートがBID側である旨と上昇幅の数値解釈に影響がある旨を追記
※2019/02/02 変動率の計算時に分母の始値の日付に間違いがあり変動率を含む結果表を差し替え
正の例)下落率2d = 下落幅2d/始値(初日)
誤の例)下落率2d = 下落幅2d/始値(翌日)
差替版では、下落率2d,3dが小さく、上昇率2d,3dが大きくなります。
Contents
1月のフラッシュクラッシュの状況と反省
為替レート変動の状況

20190103前後のUSDJPYチャート(60分足、岡三オンライン証券くりっく365のチャートより)
これは実際にポジションを持っていたUSDJPY(くりっく365)の当時のチャートです。年末に111円台からずるずると下がっていき1月3日急落したのです。USDJPYでは109円前後⇒106円直前、AUDJPYでも76円前後⇒72円前半まで一気に下落しました。FX業者によっては、もっと下落幅が大きかったところもあるようです。
振り返って
USDJPYでは、12/17に113円台で異業者両建てのポジションを持ちましたが、ずるずると下がり続けて、年越し時には110円を切るような状況でした。スワップ鞘取りの場合、買側で評価損の場合は、売側で評価益となるため価格変動の影響を受けない前提ですが、一定以上変動すると証拠金の調整が必要になります。
はるきちの通常オペレーションは、まず予備資金を評価損の業者に入れ、さらに変動するようなら評価益の業者から資金を移動させます。当時は、短期前提ということで予備資金の一部も含めてポジションを膨らませていたため、オペレーションが窮屈になりました。
また、本当は年末に短期のポジションは閉じてしまいたかったのですが、くりっく365と他のFX業者で確定申告の年内取引日の基準が異なり、年越し前に決済すると税金上不利になる状況でポジションを年明けまで引っ張ってしまいました。
もとから分かってはいたのですが、再認識したことは以下の通りです。
- FX取引では、価格変動が大きな際にはスプレッドが拡大したり、思ったように約定されなくなるなど、不利な価格で決済せざるを得ない状況もある。
- 業者間の資金移動にリードタイムがかかる。評価益の業者⇒銀行⇒評価損の業者までは数日かかります。
- トラリピ系取引やスワップ鞘取りでは、証拠金不足となって強制ロスカットとなった場合には、大きな損失が出る場合がある。
- 強制ロスカットを避けるため、これまでは「長期での高値/安値を意識して証拠金を想定」を実施してきました。これはトラリピ系では必須です。
- 加えて「短期の急変動に対する想定」も重要 ⇒ スワップ鞘取りで必須、トラリピ系でも重要
ということでの「短期(1~3日)での変動の確認」です。
為替レートの短期変動の確認
変動確認の前提
- 変動確認の方法
- 為替レートのヒストリカルデータから、短期間(1~3日)にどれだけの変動(上昇、下落)があったのか確認します
- 利用データは、マネースクエアが公開してくれている為替日足データ(2007/04/02~2019/01/18)です。(マネースクエア ヒストリカルデータのページ)
- 利用データは、マネースクエアが公開してくれている為替日足データです。(マネースクエア ヒストリカルデータのページ)
- 検証データ期間:2007/04/02~2019/01/18
- レートデータ:4本値(始値、高値、安値、終値)※20190202追記
- 変動幅の考え方
- 日足4本値より、
始値⇒高値の差分を上昇幅1d、始値⇒安値の差分を下落幅1d
始値⇒翌日の高値/安値の差分を 上昇幅2d/下落幅2d
始値⇒翌々日の高値/安値の差分を 上昇幅3d/下落幅3d
- 日足4本値より、
短期間:1~3日としたのは「毎晩/毎朝レートの確認はできてはいない」、「資金移動にリードタイムが必要」という経験から、まあ3日は見ておこうという感じです。
短期変動幅データ

為替レート短期変動幅データ(2007/04/02-2019/01/18)
過去の約12年分の日足データから、単純に変動幅を確認した結果が上表です。ぱっと見、以下の点が読み取れます。
- 思っていたより過去実績での短期変動幅は大きい。
- スワップ鞘取りやトラリピ系での人気通貨のAUDJPYでは、最大下落幅1d:10.72、最大下落幅3d:17.11です。
- 上昇幅よりも下落幅の方が大きい傾向有り。
- 経験的にそう感じていましたが、裏付けられました。
- 特に、クロス円通貨(AUDJPY、NZDJPY等)でこの傾向は顕著です。
- 今回の検証は、BIDデータなので急変動時はスプレッドが拡大し、上昇幅より下落幅の方が大きく出る傾向があり、このデータからだけでは必ずしも検証できたとは言えません。ですが参考に引用したフラッシュクラッシュ時のUSDJPYのスプレッド状況と比較すると、下落幅>上昇幅の傾向は確かにあると思われます。※20190202追記
- クロス円通貨(AUDJPY、NZDJPY等)の方が、ドルストレート通貨(AUDUSD、NZDUSD等)変動が大きい。※後段の変動率データだと明確です。
- TRYJPYやZARJPYのような長期で下落が続いている通貨ペアでは、変動幅だけでは参考になりにくい。
- 今回、TRYJPYのスワップ鞘取りを検討しているので、変動率を確認します。
- 前記事の長期変動確認でも、長期下落通貨は、トラリピ系や長期ポジションに向かないと判断。
参考:20190103フラッシュクラッシュ時のUSDJPYのレート状況
※20190202追記
当時の各社レート状況について高城氏がまとめてTweetしてくれていましたので、参考として引用させてもらいます。スプレッド拡大やレート停止などが発生していたようで、状況は各社それぞれで差がでていたようです。
やはりこういった流動性危機の状況で、強制ロスカットされることや決済せざるを得ない状況になることは回避したいですね。
ドル円フラッシュ・クラッシュについて主要FX会社の安値を見てみました
安値は103.51円から105.98円台まで会社によって大差が…。1分足のデータ抜けも多く取引できない会社、時間も多かったのかなーと。スプレッドもひどいことになってそうですね pic.twitter.com/BqJnUjx9SD
— 高城泰 (@takagifx) 2019年1月3日
短期変動率データ

為替レート短期変動率データ(2007/04/02-2019/01/18)※20190202差替版
変動幅では確認しにくい通貨ペアもあるため、変動率(変動幅÷始値)データを確認したのが上表です。
- 変動率が大きいのは順に、TRYJPY、ZARJPY、GRBJPY、AUDJPYとなりました
- TRY、ZARなどの新興国通貨は、高金利通貨として手掛ける場合も多いと思いますが、短期変動の大きさを意識した証拠金想定が必要と思います。
- AUDJPYも変動が大きい部類に入ります。
- 変動率でみると、クロス円の変動がドルストレートに比べて大きいのが明確です。AUD、EUR、NZDで共通の特徴として確認できます。
変動状況の時系列推移データ
変動率の時系列推移を確認します。データ量が多いため、AUDJPYを参考として示します。

AUDJPY変動率時系列推移データ(2007/04/02-2019/01/18)※20190202差替版
AUDJPYを参考に時系列推移を確認します。まずわかるのは、
- 過去の推移と比較すると、今回のフラッシュクラッシュは必ずしも大きなものではなく、それ以上の変動は何度もあったということ
- この2年(2017-2018)は、大きな変動がない2年であったということ
まとめ
FXではレバレッジをあげることで資金効率を高めることができます。
ここは自戒を込めて書きたいと思いますが、特にスワップ鞘取りやトラリピ系取引で利益率を気にする場合には、レバレッジを上げることに繋がります。「なんとなく」「もう少し」「大丈夫だったから」で徐々にポジションや設定を膨らませがちです。特にこの2年は変動が少なかったこともあり、はるきち自身も警戒心が下がっていたかもしれません。
前段で書きましたが、トラリピ系取引やスワップ鞘取りでは強制ロスカットとなった場合には、評価損が膨らんでいるということで大きな損失に繋がる場合もあるということを、再認識したいと思います。
為替に大きな影響を与えそうなイベントや流動性が下がりそうな時期(GWの長期連休)など、いろいろあります。そんな中でも、ゆったりFX投資とできるように事前の警戒や準備を怠らないで行きたいと思います。
自身の反省点と対処案
- トラリピ系
- 元から長期変動の高値安値を意識した証拠金額は想定していますが、証拠金維持率に余裕があると、一部を余裕資金扱いして他の運用に回すことを検討したりしていました。
- 余裕資金扱いする場合には、短期変動の際の資金移動計画まで含めて計画する必要があります。
- スワップ鞘取り
- これまでは予備資金を多めに用意していたこともあり、証拠金額は片側1万ドルあたり10~15万円程度でざっくりした感じでポジションを建てていました。
- 実施する通貨ペア毎に耐えるべき変動幅を設定して、それを基準にした証拠金管理をする。
- 為替アラートのアプリなどを利用して、一定の変動があった時点で証拠金移動を確実に行えるようする。
- また、今回の年末年始のようにポジションを徐々に拡大しがち、その点は再度自戒したい。
今回は、長文にお付き合いいただきありがとうございました。
はるきち
参考記事
過去にスワップ鞘取りの証拠金管理向けの記事やエクセルシートなどを作成していますので、ご参考として紹介します。